キャロブはチョコレートの代用品として注目されており、食物繊維、
ビタミン、ミネラル、ポリフェノールなど栄養素が豊富です。
チョコレートの代用だけでなく、キャロブ由来のポリフェノールが秘める可能性に着目し、研究を進めています。

 中国ではコロナ禍以前の数年間、化粧品ブームが到来し、ネットでは日本製の化粧品が大きな人気を博しました。その、インフルエンサーの影響力が高いEC市場において『成分党』と呼ばれる、化粧品の成分にこだわる消費者が台頭し、彼女たちの素人議論が沸騰しています。また同じ時期に、中国政府も、かつての日本のような管理監督体制に改め、化粧品の乱造が起こらないような規制を強化しています。一見すると、中国の化粧品市場は、情報の普及と監督の強化によって、健全な方向に進路を修正したかに見えました。
 ところが、中国の『成分党』の人々の議論を聴いていると、あらためて化粧品に関する議論の難しさを痛感させられます。化粧品に含まれる「コンセプト」成分はそれぞれがわずかな比率で配合され、多くの場合、1%にも達しません。このような微量な成分で差別化を図るのは至難の業です。逆に、特定の成分を大胆に配合してしまうと、過去に日本で発生した健康被害を招いてしまう可能性も孕んでしまいます。過去の教訓から、各メーカーは、慎重かつ控えめな処方設計を心がけているのです。したがって、成分党の方々が熱弁するほどの効果は、ほとんどの化粧品には期待できないのが現実です。
 真の差別化要因になり得るとするならば、それは新しい成分の発見でしょう。大手化粧品メーカーは研究を地道に重ね、新たな成分の効能を検証するために実験を繰り返しています。この分野の可能性は無限大です。今日、遺伝子解析によって様々な成分が発見されていますが、地球上には、膨大な数の植物種の中に存在しているはずです。遺伝子技術の発達は、この探索作業を効率化するだけでなく、遺伝子レベルでの効能メカニズムの解明においても役立ちます。それは何も医薬品に限った話ではありません。化粧品においても、新しい可能性を切り開く鍵となるのです。

チョコレートの代用だけでなく、キャロブ由来のポリフェノールが秘める可能性に着目し、研究を進めています。